聖和家庭

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愛は死を超えて(4) 亡き妻との魂の交流

シリーズ4回目です。今日で終われるかな?


「あなたが話し、説明し、示すことには、近親者の心にしっかり触れる力が必要よ。心に触れ、彼らを納得させるのが望ましい。巷では残された者が最も強く死の打撃を受けるって言われている。だからこそわかってもらいたいの。愛する人の旅立ちは訣別なんかじゃなくて、ただ状態が変わるだけだってことを。望む気持ちさえあれば、離れ離れになるのは肉体だけですむって事を。私達みたいに再びコンタクトがとれるよう試してみることだってできるって。そして仮にそれが叶わなくても、死者は無の中に消えてしまったと信じ込むのは誤りで、思いやりと深い情愛、そして誠実さと温かさにあふれる彼らは自分たちのそばに必要なだけいてくれるということもね。それを残された人たちに納得してもらえれば、もうそれだけですごいと思うわ」「つまり、きみがぼくにこうして話してくれているのは、『マニュアル』みたいなものなんだよね?」「そうよ。この本を書くのが、あなたにとってどんなに困難で苦しいか、私にはよくわかっている。だって、とてもつらい時期の思い出を呼び起こさなければならないんだから。でも他の人たちのことも考えなきゃ。私たちはラッキーだったわ。この幸運は、私たち以外の人だって手に入れられるのよ」「でも、周りを見回しても、ぼくたちみたいなケースはあまり見かけないよ.......」「繰り返しになるけど、コミュニケーションを可能にするには、3つの条件が必要よ。まず、旅立つ者と残る者の間に、深い意思の疎通と互いに対する強い真実の愛がなければならないわ。二番目に、コミュニケーションを持ちたいと望む必要がある。互いに呼びかけ、呼び声を聞いたときにはちゃんと応える。それについてはしょっちゅう話し合い約束しあって、心の準備をしておかなければならないわ。そして最後に、その可能性を信じなきゃだめ。あなたの本はそのためなの。だからあなたには説得力が必要よ」



<訳者あとがきから>
フィリップとカトリーヌは人生の晩秋にさしかかった老夫婦です。しかし互いにやりがいのある仕事を持ち、多忙ながら充実した日々を送っています。深く愛し合う二人は多くの良き友や愛猫に囲まれ、申し分ない幸せのなかにいました。そんな二人に突然、不幸が襲いかかります。カトリーヌが癌に侵されたのです。迫りくる死を前に、二人はこれからもずっと一緒に生きていこうと誓います。そして実際、カトリーヌはこの約束を守ります。彼女は死してもなお夫とコミュニケーションを取り続け、彼を導き、守り、日々の生活を共にしたのです。『愛は死を超えて』は、愛する近親者の死に絶望している人たちを励まそうと、著者フィリップ・ラグノーが自分自身の体験を綴った物語です。しかし著者の思いはそれだけにとどまらず、死を恐れる人や病に苦しむ人、あるいは日常生活の重みに負けそうになっている人など、この世に生きるすべての人へ向けられています。カトリーヌはフィリップに言います。「生まれてきた意義を果たせる限り、課された責任を負える限り、加齢による病や故障に耐えうる勇気のある限り、逃げずに生に立ち向かいなさい」と。死を扱った書物でありながら深刻さや暗さはほとんどなく、読後いつまでも残るのはなんともいえない幸福感です。それは本書が死に対する暗いイメージを払拭し、死を肯定的にとらえることで、目の前の生にも積極的に取り組む意欲を奮い起こしてくれるからだと思います。


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