死などたいしたことではない。私はただ単に隣の部屋へ移っただけ。
私は私、あなたはあなた。
これからも他者との関係は、いままでとまったく変わりはしない。
これまでどおりの名前で私を呼んでほしい。
これまでずっとそうしてくれたように、これからも私に話しかけてほしい。
厳かな、あるいは悲しげな口調ではなく、
これまで一緒に笑い転げたものを見たら、これからも笑ってほしい。
祈ってほしい、微笑んでほしい、私のことを考えてほしい。
これまでと同じような調子で、私の名前を口にしてほしい。
いかなる仰々しさも、わずかな影も感じさせずに。
生はこれまでとまったく同様の意味を有している。
生はこれまでとまったく変わりはしない。私たちをつなぐ糸は切れてなどいない。
ただあなたに私が見えないだけ。
私はあなたを待っている。遠くに行ったりなんかしない。
ただ道の向こう側に移っただけ。
あなたにもわかるだろう、すべてよし、と。
ーシャルル・ペギィ
シャルル・ペギーはフランスの詩人、劇作家、思想家。 ウィキペディア
これは今読んでいる「愛は死を越えて」のなかに出てくる詩です。この本は実話で、カトリーヌという最愛の妻を亡くしたご主人の手記みたいなものです。
亡くなった奥さんが出版を切に望みました。それはおなじように愛しい人を亡くした方に希望を与えるためです。
ご主人は奥さんが亡くなったあと自殺も考えたようですが、奥さんからの交信が始まり、今までのように妻がそばにいてくれるという希望と喜びが湧いてきます。そして様々なことで奥さんが彼を助けてくれます。
次回から印象に残った内容を記していきたいと思います。